海が青い理由。
それは、太陽光のなかで「青」だけが吸収されず深海まで届き、
海底の砂に反射して上がってくるからだそうです。
もちろん科学的な理由があることでしょうけれど、
なんでも受け入れてくれそうな海なのに、
思いがけず頑固というか、一途なところを知ってキュンとしたのでした。
私も、豊かな「青」を声で表現したいと思っています。
そのためには、自身ができるだけ透明であることが重要です。
〝この歌すごく泣けるでしょう? ほら!”
そんな演者の思惑が透けて見えるほどつまらないことはありません。
その歌が嬉しいか悲しいかは聞いた人が決めることです。
深海合唱団のひとりひとりは波や水泡のようなヒトカケラ。
歌い方に統一感を持たせ、集まることで表現できるものがある。
そこにやりがいを感じています。
もちろん、生活環境も仕事も年齢もちがう女性が10名集まれば、様々な事情があります。
2nd single「津軽海峡・冬景色」のミュージックビデオに私はいません。
撮影が週末の夕方だったからです。
休日に1才の娘をあずけて出かけるのはなかなか大変で…声のみの参加となりました。
ライフワークで声優業をしてきて、今まで収録も撮影も休んだことはありません。
今回、私生活を優先したのは、深海合唱団の活動を長く続けたいからです。
有志団体で足並みを揃えるのは並大抵のことではないからこそ、
無理に揃えないという選択がしたいと思いました。
とはいえ、言い出すのは大変緊張しました。
メンバーの皆さんにご理解とご協力をいただいて、とても感謝しています。
パッと見てクールな印象があるかもしれませんが、実は日々奮闘しながら私なりの「青」を表現しています。
フォトエッセイを通じて、すこし近くに感じてもらえたら嬉しいです。
写真 / 松永奈々