海洋プラスチックとわたしたち展へようこそ!

この展示は、わたしたちが開催する「小さなプラスチックを集める会」の”集めたプラスチックをどうしよう?”からはじまりました。
当初はすべてカエルデザインさんにお送りしていましたが、次第に、自分たちでは何もできないのだろうか?と考えるようになりました。

わたしたちらしく、たくさんのプラごみが街から海へ、そして深海にも辿り着いてしまっていることを伝えたい。
そう思い、5月に集めたプラスチックを使って、写真を撮りました(アイデアの源はカエルデザインさん!)

わたしたちの顔や手の上で、様々な色を残したままのプラごみの欠片たち。みなさんの目にはどう映りますか?

海のSOS!海洋プラスチック汚染とは何か

海洋研究開発機構(JAMSTEC)
海洋プラスチック 動態研究グループ
グループリーダー 中嶋亮太氏

海洋プラスチック汚染は、地球規模の深刻な環境問題です。
毎年、世界で生産されるプラスチックは4億トンを超え、その重さは東京スカイツリー1万個以上に相当します。
そのうち年間約5千万トンが適切に回収や処理されずに環境に放出されており、その一部は海洋に流出しています。
海洋で見つかるプラスチックごみの多くは、レジ袋や食品包装などの「使い捨てプラスチック」です。
また、プラスチック製品が劣化して微細化した「マイクロプラスチック」は海洋全体に拡散しており、海面には推定170兆個ものマイクロプラスチックが漂っています。
現在、プラスチックが見つからない海は存在しません。

プラスチックは自然界でほとんど分解されないため、消えないごみとして海洋に蓄積し続けます。
実際に、海底からは50年以上前に製造された食品包装などが頻繁に発見されています。
生態系への影響も深刻で、さまざま海洋生物がプラスチックを食べています。
魚類では約500種のうち6割以上から体内にプラスチックが確認されており、またプラスチックが胃腸に詰まり死亡する海鳥やウミガメも多く報告されています。
プラスチックに含まれる有害化学物質の一部は生物の体内に蓄積し、食物網を通じて生態系全体に影響を与える可能性があります。
食物網の頂点にいるサメ類や深海生物からも、プラスチック由来の化学物質の汚染が確認されています。

プラスチックに絡まる生き物も後を絶ちません。
クジラや海鳥、魚などの多くが捨てられたプラスチック製漁網に絡まり、命を落としています。
さらに、プラスチックは病原菌を運ぶ媒体にもなり、汚染されたプラスチックがサンゴに病気を引き起こすことも確認されています。
経済への影響も無視できず、海岸の清掃コストを含む海洋産業への損失は年間2兆円を超えます。
海洋プラスチック汚染は地球環境と私たちの社会に長期的な脅威をもたらしており、地球規模での対策が急務です。

展示情報

プラスチックの顔と手 モデル:
竹内亜紗子牧野くみみさ、和田遥奈、アサノジュンコ、榎木宏実

写真:松永奈々
プラスチック装飾:アサノジュンコ
装飾アシスタント:榎木宏実

解説文「海のSOS!海洋プラスチック汚染とは何か」:
海洋研究開発機構(JAMSTEC)海洋プラスチック 動態研究グループ グループリーダー 中嶋亮太氏

プロデューサー:石山ゑり

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