こどもの頃、
母はいつもスカートをはいていた。
親子遠足に行く時以外、パンツをはくことなんてなかった。

「どうして毎日スカートなの?ズボンはかないの?」と聞くと
「似合わないの、脚の形がキレイじゃないのよ」
と返ってきた。

その理由は嘘ではないんだろう。
でもスカートを好んで身につけているように見えていた。

私から見ても、スカートの方が似合っていると思ったし、
母の細いウエストにスカートをはいていることが、女性のかわいさとして映っていた。

今の私はワンピースばかり着ている。

母に倣ったわけでもないし、母以上にパンツが似合わないけど、それだけじゃない。
ワンピースってすごくかわいい。

小さなこどもからおばあさんまで、他の人が着ていても「女の子ってかわいいなぁ」としみじみ思う。

自分の思う「かわいいもの」をずっと持っていたい。
だから毎日、ワンピースを着るんだ。

写真 / 松永奈々