中学2年生のとき、部活仲間とピアスをあけた。
放課後に連れ立ってクリニックへ行ったのを覚えている。

お洒落への興味か、友達との思い出作りか、きっかけは忘れてしまった。
なにか、はじめの一歩を踏み出してみたかったのだと思う。

高校生のとき、片耳にまた一つ穴をあけた。
ピアスをあけると運気のめぐりが変わると聞いたからだ。
友人と「お互い、来年は恋人と過ごそうね!」なんて言い合いながら、クリスマスイブの渋谷を歩いた。

ピアス穴とはそれから随分長いこと付き合ってきたけれど、娘を産んだことで一変した。

授乳のとき、入眠するとき、寂しいとき。
娘が私の耳たぶを小さい指でつまんで、
もみもみするのだ。

ピアスを付けなくなり、恋愛成就を願ってあけた穴はその役目を閉じた。
そして残りの穴たちも、今は着飾ることなく、娘にされるがままになっている。

出産してしばらくは、すべてのアクセサリーから遠ざかっていた。
赤ちゃんのやわらかい肌を傷つけないように、誤飲の危険もないようにと。

それからあっという間に2年経ち、最近は、
私の胸元にかかるネックレスをさわって
「これ、かわいいねえ、ママ」なんて言ってくれる。

アクセサリーはピアスが好きだったけれど、こうして変わっていくのも悪くない。

気持ちをルン♪とさせて、幸せな毎日を過ごすために。
ちょっとした願いを込めながら、今の私にぴったりなものを身につけたいのだ。

カエルデザイン

カエルデザインは、様々な障がいを持つ人たちとともに、廃棄され海岸に漂着した海洋プラスチックやフラワーロス(廃棄花)などを回収し、アクセサリーなどに加工する、アップサイクルブランドです。
https://kaerudesign.net/

写真 / 松永奈々