北方民族博物館に行きたいし、流氷を見に行こう!ということで、一路網走へ行った記録の続編、の続編です。

(1) はこちら
(2) はこちら

旅程

1日目:女満別空港〜北方民族博物館〜天都山〜オホーツク流氷館〜道の駅 流氷街道網走〜網走市立郷土博物館分館 モヨロ貝塚館〜珈琲屋 デリカップ

2日目:網走監獄〜JR北浜駅〜濤沸湖〜流氷船おーろら〜女満別空港

すっかり雪も止み、晴天となったこの日。
朝の光で、至るところに積み上げられている雪が一層眩しい。

今日もあばしりフリーパスを使って、バス移動です。

風雪に耐え、100年の時を刻む木造行刑建築

まずは、明治以来、網走市と深く関わりを持っていた網走刑務所旧建造物を保存公開する野外歴史博物館 博物館網走監獄へ。

1912年に建築、85年に移築された獄舎「五翼放射状平屋舎房(ごよくほうしゃじょうひらやしゃぼう)」は、木造の行刑建築物で世界最古なのだそう。

博物館網走監獄 中央見張り

中心に置かれた中央見張り(監視部屋)を起点に5つの棟が放射状に建てられているのは、少ない人数ですべての獄舎を監視できるようにするため。
これはベルギーのルーヴァン監獄をモデルにしたもので、明治45年(1912)から昭和59年(1984)まで70年以上も現役の獄舎として網走刑務所で使用されていたそう。
写真は棟の一つ。

ところどころに人形がいて驚く

ここには、旧網走刑務所の歴史的建物25棟が移築復原されており、2016年に内8棟が国の重要文化財に、6棟が登録有形文化財に指定されています。

北海道の大地を貫く道路や鉄道、農地を切り拓いた囚人たち

見学するまで全く知らなかったのですが、時を遡ること明治10年代。
西南戦争が生んだ国事犯などで囚人が増え続け、全国的に監獄は過剰拘禁だったそうです。

政府はこれを解決するため、明治14年監獄則改正を行い、徒刑・流刑・懲役刑12年以上の者を拘禁する集治監を、北海道の地に求めます。

博物館網走監獄

当時、ロシアからの北の守りを進めるうえでも広大な北海道の開拓は重要な懸案事項。
そこで、北海道に集治監を設置し、廉価な労働力として囚人を使役させ、北海道の防衛と開拓を進める。
さらに、彼らが刑を終えたのちには人口希薄な北海道に住み着いてくれたら一挙両得、ということだったようです。

そうして明治23年、人口わずか631人の小さな漁村の網走に、網走囚徒外役所が誕生。
連れてこられた囚人たちが、木を切り倒して自分達が寝泊りする小屋を建てる。
さらに囚人たちが連れてこられては仕事を手伝い、千人以上の囚人が生活ができる大きな刑務所になり。

房舎内の暖房についての展示

そこへ囚人を監視する職員達も、家族を連れてやってきて。
人口は急激に増え、物を売る商人達も次々と村に店を構えたそうです。

しかし、もちろんながら住民による排斥運動があったこともあれば。
何より、作業の過酷さに多くの囚人達が命を落としています。

他の街と網走をつないで延びる道路や鉄道の線路も、現在多くの人たちが降り立つ空港も、オホーツクの海の幸を満載して帰ってくる漁船が横付けする港も、秋になると豊かに実る広大な農地も、みんな、みんな最初に作ったのは網走の囚人達だったとのことです。作業の過酷さに多くの囚人達がこの網走を終焉の地としながら・・・

引用:監獄秘話 網走監獄のはじまり | 博物館 網走監獄

監獄歴史館の大きな画面で、中央道路の開削をテーマにした映像を見ました。

現在でも、罪を犯してしまった人に対する感情や考え方は、立場や人によって様々かと思います。

帰路、バスは現在の網走刑務所の前を通って。すぐ近くにハローワークがあったのが、なんとなく印象的でした。

流氷に一番近い駅、
JR釧網本線「北浜駅」

あばしりフリーパスでバスを乗り継いで、オホーツク海にも一番近い北浜駅へ。
(JRは前日の雪の影響で運休していました)

駅は無人。壁一面にはたくさんの人が書き残していったメッセージや、貼り付けられた無数の名刺。切符。
くぐり抜けるように駅舎からホームへ出ると、線路のすぐ側まで海でした。

駅舎の中には、レトロな雰囲気が素敵な喫茶レストラン「停車場」。
国鉄時代そのままの列車の座席や網棚が、店内のインテリアに使われているそう。

喫茶レストラン「停車場」

ホタテがたくさん入った、美味しいシーフードカレーをいただきました。

濤沸湖を目指して

そこから徒歩で、濤沸湖水鳥・湿地センターへ。

濤沸湖は、2005年にラムサール条約の登録湿地となっています。

濤沸湖

深海合唱団が「小さなプラスチックを集める会」を開催している葛西海浜公園も、ラムサール条約登録湿地です。

濤沸湖が、ラムサール条約登録にあたり評価されている点は下記の通り。

  • 汽水湖、低層湿地が我が国を代表する湿地である
  • タンチョウ(絶滅危惧Ⅱ類、国内希少野生動植物)が生息する
  • 渡りの時期のガンカモ類の最大渡来数が約6万7000羽、定期的に2万羽以上の水鳥を支えている(平成17年の数値)
  • オオハクチョウを含む5種類の水鳥について東アジア全体で確認される個体数の1%以上を定期的に支えている

白鳥が、広々した水面を気ままに泳いでいました。

濤沸湖

再び徒歩で北浜駅に戻る途中、セイコーマート(コンビニ)に立ち寄り。
知床出身のメンバー、牧野くみさんが”No 鮭とば No Life”と歌う「鮭とば」が、数種のラインナップで販売されていることを確認しましたので報告しておきます。

昨日の雪の影響で、流氷観光船は朝の第1便から第4便まで運休が決まっていた。
北浜から網走バスターミナルへ戻り出す頃、なんと最終便である第5便が運行されることに!

次回いよいよ、流氷を見に行きます。