第1回目は、深海合唱団の野呂圭都が、株式会社大成・田中淳子さんにインタビュー。
後編では、大成さんのことや魚食についてお話を伺いました。
前編「昆活のすすめ」はこちら
田中淳子さん
プロフィール
Junko Tanaka
前浜原料の輸出、加工業、販売業を行う株式会社大成に所属。
昆布を原料に使ったせっけんを開発し普及に努めている。
https://daisei66.co.jp/
野呂圭都
Kate Noro
大成さんのこと
圭都大成さんの事業は、お魚の加工がメインなのですか?
田中さん(以下敬称略)銚子の本社が原料を扱っています。私が所属しているさいたま支店は、学校給食や高齢者施設などで湯せんで食べられる、味付けのお魚を扱っています。骨も取ってあります。
圭都骨も!
田中骨がある魚の魚食教育が大事なのは重々承知です。けど、高齢者の方に安全に食べてもらうために骨のない加工した魚も、必要なものだと思っています。加工品から入って興味を持ってもらって、魚っておいしいんだ、体にいいんだってわかってもらうことも魚食。私達はそちらの面でやっていきたいと思っています。
圭都素敵だと思います。いざお魚をいただこうと思っても、料理のレパートリーに乏しくて。同じ味付けだと飽きちゃうし…大成さんの加工食品はレシピのバリエーションが豊富で、これも食べたい、あれも食べたい!とワクワクしました。
田中匂いが気になったりゴミが生臭いから魚料理をやりたくない方、メニューがお肉に偏っちゃうとき、妊婦さんがつわりで料理できない時なども、湯せんで簡単に色々なレパートリーの魚を召しあがっていただきたい。
圭都「サカナプラスナニカ(大成の通販サイト)」で煮魚や焼き魚が購入できると知って、大量購入してしまいました!調理されていて、湯せんするだけでいただけるなんて、本当にありがたい…
田中もしかして昆布ペーストのセット?ありがとうございます(笑)。あ、話脱線しちゃうけど、こんぶペーストをバターで炒めてじゃがいもに乗せてじゃがバターみたいにするとすごいおいしい。
圭都昆布とバターって合うんですね!?新しい食べ方を知るのって嬉しいです。大成さんのインスタグラムではたくさんのレシピが紹介されていますが、どのように取り組んでいるんですか?
田中女性スタッフが作って、広報が上げています。元々問屋さんに卸す仕事だったので、個人向けの取り組みを全然やっていなかったんですよ。これもチャレンジではじめました。女性が活躍できる場所を作ってくれる会社ですね。
圭都ホームページを拝見すると、とても人を大切にされている会社だなという印象です。実際にやる気のある方がたくさんいらっしゃいますか?
田中2020年から人事評価制度が導入されました。目標を立てるのは大変だけど、見えてくる部分がありますね。
田中前職で色々学ばせていただいたことが、今のスキルアップになっています。一つの会社にいるのはもちろん大事ですけど、転職は一概に悪いことではなく、それぞれの体験を糧にして、やりたいことにつなげればいいと思っています。
圭都私もそう思います。違いを知ることで視野が広がるということもあると思います。
田中若い(大成の)社長がそういう考えなので、大成にいる間に学んで自分の力にしてほしいって。だからこそやる気のある人に入ってほしい、って思っていると思うんですよね。
圭都目標を立てるのは大変だけど大事だなって思います。働き方や価値観が人それぞれなのは当たり前だけど、仲間と一緒に働くうえで目指すところの意識が違うと苦労する部分も多いので、会社から提案や後押しをしてくれる環境は素敵だなと思いました。
田中そうそうそう、意識が一緒じゃないと大変(笑)!
圭都それが田中さんのアクティブな活動にも繋がっているのかなと思いました。
田中水産女子の打ち合わせに行った時に、「女子すごい!」って思ったんですよ。で、それ見て私なまっちょろいって思ったんですよ(笑)。そんな水産女子メンバーを見て、こんぶせっけんを作るにあたって背中を押された。これってボランティア的なこともあって、自分がいっぱいいっぱいだと多分できない。そういったことも、この一年学ばせてもらいました。
こんぶせっけん余波
圭都田中さんが水産女子と関わったりこんぶせっけんの普及に取り組むことで、周りの意識は変わりましたか?
田中一番はSDGsって言葉を社内で発しても半数以上知らなかったのが、周りに浸透してきたことですね。当初は大人より学生の方が勉強して知っていました。言葉だと難しいけど、身近なことからでもSDGsって実はできるじゃないですか。こんぶせっけんも、一人ひとり協力して民間レベルで考えてもらうきっかけになったらいいですね。
圭都会社としてもSDGs(※)を掲げていらっしゃいますよね。
※SDGs…持続可能でよりよい世界を目指す国際目標
田中掲げるよう伝えました。本社のある銚子は噂が早くて、せっけんの噂も広がって地域で面白がって下さいました。
圭都今後こんぶせっけんの消費拡大に力を入れる動きはありますか?
田中そうですね、ただ大手では売りたくないんですね。説明をして、興味を持ってくれた人に買ってほしいです。本当は手売りしたい。
圭都買う側としても作り手の想いを感じます。
コロナのこと
圭都コロナ禍で大成さんのお仕事などに影響はあったのでしょうか。
田中高齢者施設で食べ物は絶対必要なので、あまり大きな打撃はありませんでした。が、それゆえ石鹸を作りに取り組む余裕がありました。個人的影響だと、趣味で体を動かすことができなくて、私空手やってるんですけど。
圭都えっ!空手、私もやってました!
田中そうなんだ! 体動かしたり、声を出すことは日常で大事なことですよね。歌(音楽)っていいですね、声出すって内臓にいいじゃないですか。
圭都じゃあ私は歌の活動に支えられてたんだ。
田中絶対あると思う。コロナがあって、考えることや意識が変わったことがたくさんあるじゃないですか。悪いことばかりじゃなくて。
圭都わかります。マイナスに気付けたことで意識が変わって、プラスに発展することもありますよね。
未来のこと
圭都最後に、これから取り組みたいこと、力を入れていきたいことがあればお聞きしたいです。
田中会社としては、今月(対談時2021年11月)から埼玉県浦和で月に一回「うおっこ」というお店をオープンしました。今まではロスになっていた半端になるものなどを集めて売っています。
田中今までは問屋さん向けばかりだったので、地域の方との接点を広げていきたいです。駅から少し遠い住宅街なので、車の使えない方にすごく喜んで頂いて。今後は銚子の名産なども持っていって、マルシェっぽくやっていきたいなというのがありますね。
圭都美味しいお魚を地元で楽しく買えるお店、いいなぁ~!
田中個人的には、内勤の事務の女性でも活躍できる場所、クローズアップしてもらえる場所を、事務職の私から発信したいです。
圭都ご自身の会社に限らず、水産業界で働く女性に向けてのメッセージでしょうか。
田中そう。事務だって水産業に関わっていれば水産。女性の立場から伝えていけたらなと。そのために外に出ていろんな人と会って、人脈作りしたい!
圭都かっこいいです!
田中それが楽しい。自分で発信できる人はやってると思うから、やりたいと思っているけどできない人のためにも何かできたらいいな。積極的になれない人も、組織にいればできるっていうことを応援したいです。
圭都人との繋がりが活動の源になるのですね!田中さんのお話を伺って私もパワーをもらいました。今後のご活躍も楽しみにしています!
サカナプラスナニカ
水産女子セレクトの「あったらいいな」のおかずをPICK UP!
https://sakanano1.thebase.in/
こんぶせっけん
気になった方はぜひこちらをチェックしてみてください。シルク入浴パックも要チェック!
https://komb2021.thebase.in/
水産女子とは?
まだまだ男性社会である漁業・水産業の現場で活躍する女性たちのことで、水産庁の立ち上げる「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」にメンバーとして参加し、日々の生活や仕事にまつわる情報を社会に広く発信しています。
活動を通して、女性にとって働きやすい漁業・水産業の現場改革や仕事選びの対象としての漁業・水産業の魅力向上を後押ししています。
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kenkyu/suisanjoshi/181213.html