2025年12月21日の巡り巡る音楽祭「冬」に寄せて、”巡り巡るマガジン”が誕生!
第1回目となる今回は、客演のトワイライト・トロンボーン・トリオ 今村岳志さんに、お話を伺いました。
今村岳志氏
プロフィール
Takeshi Imamura
宮崎県三股町出身。都城西高等学校を経て、2010年東京芸術大学を卒業。自身が代表を務めるトワイライトトロンボーンカルテットでは、これまでに
4枚のアルバムを発表。東京佼成ウインドオーケストラテナートロンボーン奏者。
https://x.com/take_posaune
石山ゑり
Eri Ishiyama
初めての出会いと、共演へのきっかけ
石山私たちの出会いは、キヲク座の「竹田の子守唄」でしたね。サックス奏者の大石俊太郎さんのご紹介で、演奏に参加していただいたのが初めてでした。
今村さん(以下敬称略)そうでしたね。大石さんと、トランペット奏者の石川広行さんと、3人でホーンセクションを組んだ形でした。リハーサルとレコーディングをして、撮影もしましたね。すごく寒い時期だった記憶があります。
石山そうです。シャツ1枚で、竹林の中などで演奏していただいて。その時の、ホーンの皆さんの演奏に打ち込んでいる姿が本当に素晴らしくて、強い印象を受けました。
石山それで、今回の音楽祭で子どもたちも観に来るステージを考えた時、ぜひ今村さんたちの演奏している姿を見てもらいたいと思い、ご連絡させていただきました。
今村ありがとうございます。子どもたちに楽しんでもらえるといいですよね。
トロンボーンの世界:教会音楽からポップスまで
石山以前お電話でお話しした際に、トロンボーンの歴史がすごく面白いと感じました。
今村元々、トロンボーンは教会の宗教音楽から始まりました。合唱団がオーケストラと共演する際、その歌声を補強する役割を担っていたんです。アルト・トロンボーンはアルト、テノール・トロンボーンはテノール、バス・トロンボーンはバスのパートを、それぞれ担当していました。
石山なるほど、歌の補強だったんですね。
今村はい。ベートーヴェンが世俗的な交響曲にトロンボーンをちょこっと使ったのが始まりです。ただ、それまではオーケストラに登場しても、崇高な音楽シーンのためにトロンボーンが限定的に使われることが多かったのです。
石山特別な存在だったのですね。
今村そうです。ベートーヴェン以来、次第にオーケストラサウンドの一部とし定着し、今では完全な一員としてのキャラクターを担っています。その過程で、ジャズやポップスといったジャンルでもホーンセクションとして活躍するようになり、最近では本当にあらゆるジャンルで必要な楽器になりました。
石山ビッグバンドやポップスのバンドでも、トロンボーンはたくさん使われていますね。
トロンボーン奏者になるきっかけ:偶然の出会いからプロへの道
石山今村さんは、なぜトロンボーン奏者になろうと思ったのですか?
今村トロンボーンは、中学校の吹奏楽部で始めました。そのきっかけは、小学校時代に3年間住んでいた台湾での経験にあります。当時中学生だった姉が、週に1回、部活でトロンボーンを吹いていたんです。ある日、姉が楽器を家に持って帰ってきたのを見て、「なんだこれは?」と思った記憶がありました。
石山最初の出会いはそこだったんですね。
今村日本に帰国して中学校に入学し、部活を何にしようか考えた時、水泳が得意だったので水泳部に入りたかったんです。でも、普通の公立中学に水泳部なんてないですよね。それで水泳部を探してうろうろしているうちに、気づけばもう5月になってしまっていて。
石山出遅れてしまったんですね。
今村はい。吹奏楽部に行くと、ほとんど担当する楽器は決まっていて、残っていたのがチューバとトロンボーンでした。友人と二人で「どっちをやるか」となり、どちらもトロンボーンをやりたかったので、じゃんけんをしたんですが、負けてしまったんです。
石山負けちゃったんですね(笑)
今村はい。一瞬、チューバ担当になったのですが、僕がよほどトロンボーンをやりたそうな顔をしていたらしく、友達が「いいよ」と譲ってくれました。それがトロンボーンを始めた直接のきっかけです。受験勉強を始める高校2年生まで吹奏楽部でした。
石山そこでプロを目指すことにしたんですか?
今村いえ、当時はものづくりが好きで、タミヤのプラモデルをよく作っていました。戦闘機や戦車とか、ミニ四駆とか、塗料も買ったり、こだわっていました。だから、途中までは、楽器職人になろうと思っていたんです。
石山演奏家ではなく、作る側だったのですね!
今村ええ。でも、高校生の頃、シエナ・ウインドオーケストラなど、プロの公演を毎年、地元の宮崎で聴ける機会がありました。特に、ジョン・ウィリアムズの「オリンピックファンファーレ」をプロの吹奏楽団の生演奏で聴いた時、「これはすごい!」と衝撃をうけ、演奏家の道を目指すようになりました。
石山今回の音楽祭では、”こどもわーく”という、子どもたちのお仕事体験企画で、子どもたちと曲を作ったり演奏したりするんですが、子どもの時の体験って、重要ですよね。私も中学生の時に地元の三重で観た劇団四季の舞台に衝撃を受け、映画や音楽の世界に進みたいと思いました。
今村そうですね。はじめての衝撃ってすごいですよね。
プロとしての現在地:オーケストラ、室内楽、そして創作活動
石山それから東京藝術大学に入られて、それまでの部活動とはやはりいろんな変化がありましたか?
今村「なんて幸せなんだろう。ずっと音楽ができて、なんて恵まれているんだ」と思いました。大学に入ってすぐ、新入生歓迎コンサートがあったのですが、先輩たちが自主的に組んだオーケストラで演奏する機会がありました。歓迎される側なのに、トロンボーンの人数が足りなかったから、歓迎する側として演奏することになったんです。そこにはプロの卵のような人たちが集まっていて、それまでの部活動とは全く違うレベルの演奏に「すごいところに来てしまった」と、また衝撃を受けました。
石山卒業されてから、東京佼成ウインドオーケストラだけでなく、トワイライトトロンボーンカルテットを主宰されていますよね。私のイメージでは、オーケストラに所属している人はオーケストラのみで活動する人が多いのかなと思っていたのですが、幅広く活動されていますね。
今村東京佼成ウインドオーケストラのような50〜60人の大編成も好きですが、室内楽と呼ばれる小編成の機動力と自由度も好きです。オーケストラでは指揮者や作曲家の音楽をいかに表現するかが尊重されますが、室内楽ではより自分たちのやりたい音楽を自由に追求できます。自分でアレンジをしたり、コンサートを作ることができる自由さが好きで、現在3つほどのグループを組んでいます。
石山作曲もされるんですよね。
今村ええ、自分のコンサートに合わせてアレンジをしたり、依頼を受けて作曲もします。最近ではオーケストラの曲も書いています。
石山すごい!あと、コンクールの審査員もされてるんですよね。
今村そうですね。でも、変な点数をつけられないので、自分が審査されているような気分になります。審査する年齢も幅広くて、自分の先輩の年代の方々に辛辣なコメントしたり、小学生に甘々なコメントをしたり(笑)
石山子ども達の演奏はどうですか。
今村無垢なので、何の雑念もない、ピュアな音がパーンと飛んでくる。子どもたちの歌声と同じで、聴くだけで涙が出そうになります。大人には出せないものですよね。あのころを大人は忘れちゃうのかな(笑)
音楽祭でのコラボレーション:トロンボーン・トリオと深海合唱団が交わる時
石山今回ご出演いただくのは「トワイライト・トロンボーン・カルテット」から派生したトリオとのことですが、少し詳しく教えていただけますか?
今村はい。母体の「トワイライト・トロンボーン・カルテット」は、2008年に結成した4人組です。現在は、私と東川暁洋と廣田純一の3人がコアメンバーになっています。今回は廣田くんが来られないので、素晴らしいバストロンボーン奏者である丸田和輝さんをゲストに迎えて、私と東川さんとの3人のトリオ編成でお届けします。
石山20年近いグループなんですね。普段はどんな曲を演奏されているんですか?
今村クラシック、ポップス、ジャズなど、様々なジャンルを演奏しています。ニューイヤーコンサートで『春の海』をやったり、夏のコンサートでは、カーペンターズの『Yesterday Once More』をやったりしました。今回の音楽祭ではお見せできないのですが、昔の作曲家に扮してクラシックの歴史について話すお芝居をやったりもしています。
石山おもしろいですね!いつかお芝居も見てみたいです。今回のステージは「対バン」形式ですが、どのような曲を考えていますか?
今村「対バン」という言葉、実は僕らの世界ではあまり馴染みがないんです。なので、最初「対バン」でとお話をいただいたときに、激しい曲をやらないといけないんだと思いました(笑)
石山そうなんですね!(笑)私たちの世界では、バンド同士が共演することをそう呼ぶんです。少しづつ言葉が違いますよね。
自分たちだとゲストとかサポートっていうんですが、さっき違う言い方をされてました。
今村ゲストの演奏者を「賛助」や「エキストラ」と呼んだりしますね。文化が違うと使う言葉も変わるのが面白いです。
「対バン」と聞いて、バンド同士の対決のようなイメージが湧きました。その言葉にインスパイアされて、スピード感のある曲もやろうかなと思ったりしています。
石山なにげなく「対バン」と言っていたので、そのように感じられるとは新たな発見です。改めて、なぜ今回、違う世界の私たちのオファーを引き受けてくださったのでしょうか?
今村深海合唱団の活動は、以前から非常に興味深く拝見していました。独特で、不思議な世界観がありますよね。そのサウンドにトロンボーンが混じったら、絶対に面白くなるだろうな、と。自分がまだ知らない世界が見えるのではないかという期待があります。だから、ゲストステージよりも、コラボレーションステージの方が断然楽しみです。
石山ありがとうございます。トロンボーンが元々合唱の補強から始まったというお話を聞いて、私たちの女性だけの声に、トロンボーンのサウンドが土台となってくれるのではないかと、すごく楽しみにしています。
今村まさにそうです。低音は任せてください。
石山よろしくお願いします!本日は、貴重なお話をありがとうございました。
今村ありがとうございました!
あとがき
今回の対談を通じて、今村さんの音楽への真摯な姿勢と、深海合唱団との共演に対する深い芸術的探求心を伺うことができました。トロンボーンという楽器の歴史的役割が、音楽祭で深海合唱団のサウンドと融合する時、どのような新しい世界が生まれるのか、ぜひ生のステージでご体感ください。
巡り巡る音楽祭「冬」
2025年12月21日(土)12:30-15:30頃
at CREATIVE BASEMENT EXPRESSION
■ 客演:トワイライトトロンボーントリオ
(今村岳志、東川暁洋、丸田和輝)
■ 出演:深海合唱団
特別出演:深海合唱団キッズコーラスメンバー
■ ワークショップ
「海洋ゴミを宝物に生まれ変わらせよう!」講師:繁田穂波
「ビーチの砂からマイクロプラスチック探し」ガイド:深海合唱団ビーチクリーン部
■ 出展
泡立て体験ができるUSS(アス)POP UP STORE
by 肌と地球を守るスキンケアUSS by papawash
■ 展示
ブイ(浮き玉)アートと海洋プラスチックの空間装飾
● 入場券
¥500 for 海洋プラごみ: 4,000円
1% for ocean:前売り 3,500円 / 当日 4,000円
学生・障がい者割:前売り 3,000円 / 当日 3,500円
小学生入場券(要保護者同伴):前売り 1,500円 / 当日 2,000円
未就学児膝上無料
入場券の購入はこちらから:
https://t.livepocket.jp/e/megurimeguruongakusai-winter